王国の宴⑯『祝杯の味』

ついに『王国の宴』も終わりを迎えました。
毎回感じることなんですが、
1ヶ月にも及ぶ祭典の終わりを告げる笛はなんとも切ないものがあります。

さて最後の2試合を振り返ります。

まずは3位決定戦のブラジル対オランダ。
その意義に異議を唱えていたファンハール監督でしたが
プレイヤー達はやはり勝って終わりたかったのでしょう、
しっかりと決定力を見せつけて心の折れたブラジルに引導を渡しました。

それにしてもおそらくこれが最後の揃い踏みになったであろう、
ファンペルシ、ロッベン、スナイデル(昨日は欠場)の三本柱は
大会を通じて胸のすく速攻と見事な決定力を見せつけてくれました。
彼らがいたからこそ5バックシステムも実を結んだのだと思います。
今後DF陣と同じようにアタッカーの世代交代がうまく進めば良いですね。

一方のホスト国ブラジル。
ズバリ「お気の毒」の一言ですね。
『地元の過度の期待』と『エースの不在』。
準決勝から続くこの甚大な不安要素によって
「せめて勝って終わりたい」というチームの微かな希望も
津波のように飲み込まれてしまいました。
地元ではまた『・・・の悲劇』、『・・・の惨劇』と語り継がれるのでしょうね・・・。

そして今朝の決勝。
ドイツ対アルゼンチン戦も大方の予想通り、
相手のストロングポイントを打ち消しあう固いゲームとなりました。
それでもお互いに死力を尽くし合った素晴らしい闘いだったと思います。

お互いになかなか決定機をつくれないまま時間だけが刻まれていきます。
アルゼンチンはとにかくメッシにボールを預けようとしますが、
サイドから内に切れ込んでくる迫力があまり見られません。
やはり相手に選択肢を与えるディマリアの不在が響いたようです。

一方のドイツもポゼッションを保ちながらなんとか崩そうとしますが、
マスチェラーノを中心としたアルゼンチンの早めのチェックで
なかなか相手ゴールを脅かすことができません。

そんななか延長を見越した後半終了間際に一人のプレーヤーが投入されました。
その名は『マリオ・ゲッツェ』。
東西ドイツ統一後に生を受けた若きアタッカーです。
レーヴ監督はこんな言葉で彼をピッチに送り出したとのことです。

「自分がメッシより上だということを示して、ワールドカップを決めてこい。」
要は現スーパースターからその称号を自分の力で奪い取ってこいということです。
これで燃えない男はいないと思います。

そして延長後半8分、
足が止まりつつあったアルゼンチンの左サイドをドリブルで切り裂きながら
これまた途中出場したシュールレがゴール前に走り込む彼にクロスを託します。
それを彼はワントラップして無理な体勢からボレーでゴールにぶち込みました。
監督の指示を見事に体現してみせたということです。
これが脈々と受け継がれる『ゲルマン魂』なのだと強く感じました。

それにしてもドイツは総合力で他を圧倒していました、
死角がないというかなんというか・・・。
いろんなスタイルのサッカーを臨機応変に繰り出していましたし、
何と言っても自陣を守るGKのノイアーに対する信頼が厚かったと思います。
素人目ですがしばらくは天下が続きそうな気がします。

一方のアルゼンチン。
一言、「『メッシのチーム』過ぎた」ということでしょうか。

とにもかくにもこの宴を締める祝杯の中身は『ビール』に決まりました。
夏の始まりを告げるにはもってこいですね!(笑)

さぁ、このシリーズもあと2回でお開きにしたいと思います。
私なりの大会の総括と『あのチーム』についてです。